新しいクラスを教えることになった数学教師。あだ名はルート。彼は家政婦をしていた母と、自分がこの道に入るきっかけとなった博士の思い出を語り始める。事故の後遺症で80分しか記憶のもたない博士は、彼にルートをいう名前をつけてくれた人だ。
珍しく原作(ISBN:4101215235)を読んだ後での鑑賞です。しかも初日。ほう、語り部にルートを持ってきたか。キャストもいい、雰囲気も悪くない。だけど、なんか違う。
思うに、音楽が重すぎる。タイトルバックからそうだったが、エンドロールも重い。小説の印象では、もっと爽やかな、キラキラした印象があってもいいのに、加古隆の曲が重鎮すぎる。で、語りをルートにしたので、話のメインが深津絵理ではないかのように感じる人もいるのではないか?さらに、原作で一番重要な江夏のエピソードが軽く流れてしまっている。
原作を知っている者としては、この映画は別モノとして扱いたい。映画単体でみた場合、それはそれでアリだろう。ただし、原作を知らずに見ていたとしたら、この作品を他の人に薦めるかどうかは微妙なところだ。監督の前作「阿弥陀堂だより(asin:B00008XWUY)」が、なんとなくいい作品だったが、どこがいいのかと言われるとポイントに困る、というのと似ている。原作は迷わずお薦めだ。