GUST NOTCH? DIARY

月光ノ仮面

  • 1000 yen @ TOHOシネマズ川崎8, K-5, 18:45, ★★★(3/5), 2012-006

終戦から2年、戦死したと伝えられていた噺家の森乃家うさぎが戻ってきた。しかし、頭に大怪我をして記憶をなくしている。契りを交わしていた弥生は、戸惑いながらも肩のあざで確信を持つ。ところが、もう一人、森乃家うさぎを名乗る男が帰ってきた。
粗忽長屋」をモチーフにした作品。
映画監督としては板尾創路の方が松本人志より上だと思う。松本人志は「笑い」をストレートに表すことにこだわりすぎていると思う。それは映画である必要はなく、むしろ映画には向かない。映画なら喜劇にする必要があるが、「劇」になっていない部分が多い。その点、板尾創路は伝えたい部分をきちんと据えて、きちんと話をつけている。
って、実はこの作品しか見てなくて、「脱獄王」は見てないんだけどねー。
さて、単に粗忽長屋になぞらえるならば、熊さんが板尾ということになるはず。周りがうさぎだうさぎだというので自分もそう思い込んでしまった、ということになる。が、元の噺に従うならば、中盤過ぎで「では、俺はいったい誰なんだ?」ということになるのだが、まだ先が続く。そして、ラストカット。
これで難しくなってしまった。ドクター中松、謎の女郎とトンネル、ヒントは出されているはず。少なくとも、全てのシーンが現実ではないということは分かる。では、それはどこまでか?
一番簡単なのは、地下通路で自害を命じられた後、板尾は実際に死んでいるというパターン。後は妄想。ただ、この場合、ドクター中松が出てくる必然性がない。
実は板尾は浅野忠信が歳をとった後にタイムスリップしてきた同一人物、というのも考えてみたが、板尾はちゃんと声がでるのでこれは違う。
石原さとみの「満月つづき」というセリフからも、そこが幻想世界であることが伺える。そしてまた、この結末は彼女が望んだ結末であるようにも見える。
ラストの浅野は板尾であるはずなんだよなぁ。