OpenCV を使った具体的な応用例を通じて、OpenCV と Computer Vision により詳しくなれる本。ここでの「具体的な」というのは、関数の使い方を示したサンプルにとどまらず、ある目的をもってアプリケーションをつくるところまで、という意味で。
全部で9章あって、それぞれが具体的な目的を実現している。
- Chapter 1: Cartoonifier and Skin Changer for Android
- Chapter 2: Marker-based Augmented Reality on iPhone or iPad
- Chapter 3: Marker-less Augmented Reality
- 要は画像認識と空間射影
- Chapter 4: Exploring Structure from Motion Using OpenCV
- 複数画像からの三次元再構成
- Chapter 5: Number Plate Recognition Using SVM and Neural Networks
- Chapter 6: Non-rigid Face Tracking
- ここから三つは顔認識関連で、まずは顔の検出
- Chapter 7: 3D Head Pose Estimation Using AAM and POSIT
- 次に、顔の向きの推定
- Chapter 8: Face Recognition using Eigenfaces or Fisherfaces
- そして、顔の認識。6章は顔があるかどうかの検出だけで、8章は誰の顔かまでを判別する
- Chapter 9: Developing Fluid Wall using the Microsoft Kinect
OpenCV の基本を押さえている人が、もう一歩進むためにはいい本だと思う。目的のためにはどんな処理が必要で、それを OpenCV でやるときにはこの関数を使う、みたいな雰囲気。Computer Vision の立場からも、どういう研究がされてきて、今はこれが主流、みたいなチュートリアルにもなってる。
9章あるんだけど、印刷されている本にあるのは8章まで、9章はPDFをダウンロードしてね、ということになってます。
この本、PACKT PABLISHING という会社の本ですが、基本的に電子書籍としてオープンソース最新の情報を提供しているところらしいです。そのため、紙の本は「電子書籍を印刷して製本したもの」というポジションみたい。本文では図版などがカラーの前提で説明されていますし、組版はイマイチ。文字間が微妙に近すぎたり、合字フォントは使われていないのに文字の位置だけは近かったしてます。数式は画像の貼り付けで少しぼけてたり、TMや転置行列のTなどが上つきになっていなかったり。でも、紙の本と電子本がセットで売っているというのはいいですね。