GUST NOTCH? DIARY

スクリーンカーテンでどのくらい削られているか?

最近、スクリーンカーテンを稼動させない映画館が出てきていることについては以前も触れたとおりです。
そもそも、スクリーンカーテン、スクリーンマスクは、フィルム時代にエッジ付近がシャープにならないため、「四角い覗き窓」を作るためにあったものです。この窓のサイズは決まっていて、それが「スタンダード」「ビスタ」「シネマスコープ」などと呼ばれる大きさです。上映時にはマスクされることを前提にして、フィルム上ではマイクなどが写り込んでいるような場合もあります。
時代はデジタルになりまして、マスクしなくてもエッジがきちんと出るようになりました。このことがスクリーンカーテンを稼動させないという原因にもなっているわけです。
さて、「マスク」という名前のとおり、映像の一部を隠していることになるわけです。デジタル上映の場合、理想的には投影枠とスクリーンの枠がピッタリと一致することなのですが、実際のところはそうもいきません。デジタル上映といえども、実は上下が削られているかもしれません。
まずはスクリーンサイズのおさらいです。横に長いのが「シネマスコープ」横長テレビみたいなのが「ビスタ」です。

このように、エッジが垂直になるのが理想的ですが、映写室とスクリーンの位置関係により、上から見下ろす投影の場合は、下側が広がってしまいます。スクリーンカーテンを稼動させていない場合や、シネスコ作品前の予告がビスタなどの場合に確認することができると思います。

さらに、大きなスクリーンの劇場の場合、スクリーンが湾曲している場合があります。中央部分が奥に、両端が手前になっていて、円筒曲面のようになっているのですが、このスクリーンで上記のように見下ろす投影をすると、上下の部分が湾曲することになります。

スクリーンマスクは、このような歪みを隠して、四角く切り取る役目もあるのです。
では、どのくらい隠されているのか?デジタル上映の場合は、隠されているということは削られているということになります。どのくらい削られているのかを確認するための目安を覚えておきましょう。
検証に使うのはどの映画館でも目にすることができる「NO MORE 映画泥棒!」です。2012年12月から最新のバージョンが流れています。現在映画館で目にするのはこのバージョンのはずです。
なお、この検証では、スクリーンの中心は正しい位置にあるものとして、上下または左右は同じ比率で投影されていると仮定します。

まず、冒頭のシーン。カメラ男の足の下を見て上下のマスクを確認しましょう。カメラ男の足元は、つま先から画像の端まで、靴の高さくらいの余白があります。もし彼の足元の下に余白がない場合、フレームの上下が削られている可能性があります。

次に、カメラ男が5人になって、最初にアップになるカットです。中央のカメラ男がパネルを開いた時の指に注目。薬指の先がフレームの端に接する状態で、小指の先には隙間があります。

次は18秒ごろのパトランプ隊がポーズを決めたところ。一番両端の二人のズボンのスソはフレームの内側にあります。もしこの隙間がない場合は、マスクカーテンが食い込んでいるということになります。

次は自宅でダウンロードしているカメラ男のシーン。まず後ろに掛けてあるスーツに着目。ソデはギリギリフレーム内に全部写っています。たまに肩の部分くらいまでマスクされている場合があります。また、縦方向、支柱の下端が見えます。また机の板も下側のエッジが見えて、板であることが分かります。

カメラ男がアップになると、ヘッドホンの上端とカメラの顎部分がちょうどフレーム一杯となります。

ラスト、パトランプ男がポーズを決めた時、手袋の先は丁度手先と同じくらいの余裕があります。

多分、確認しやすいのはパトランプがポーズを決める2箇所です。
たまに、字幕が随分と下にあるなぁ、と思う時があったりしますが、そういうときはもともと字幕の位置が低いのではなくて、投影枠がおかしいのです。