ポアンカレ予想についてではなく、ペレルマンについて書かれた本。
でも、当然ながら本人からのインタビューはないので、関係者に徹底したインタビューを行っている。
さらに、あらゆる発言について、巻末に30ページ以上もの「ソースノート」、いわゆる出典を明記している。本書を読めばわかるが、これはただでさえペレルマンが自身のことを取り上げられるのを不快に思っているだけでなく、不完全な参考文献を載せるような論文は悪であると考えていることを踏まえて、誠実に対応しようとしているのだろう。
著者がペレルマンと同じような環境で育った経験を持つことにより、なぜペレルマンが現在の状況に至ってしまったのか、ということについての推測に凄い説得力を持たせている。