GUST NOTCH? DIARY

ぼくらは海へ (文春文庫) / 那須正幹 (asin:4167773694)

解説のあさのあつこさんも書いているが、なんだろう、この読後感は。
ズッコケ三人組」シリーズの著者なのだが、そのシリーズの持っている雰囲気とはまったく異なる。結末だけでなく、全体を通して、なにか重い。「ハチベエ」とか「ハカセ」とかいうようなあだ名で呼び合うシーンが少なく、どこか少し客観的に物語を見ている感じもする。そして、ジュブナイルにありがちな冒険や探検の類なんだけど、展開がそれらしくない。しかし、子供たちの姿というのは、ここに描かれたものの方がリアルなのかもしれないとも思う。
この物語が書かれた時期というのが、自分の小学生の時期と重なっている。確かにあの頃はまだ、資材置き場や放置された車とかがある時代だった。今の子供たちにとっての冒険とはどんなものになるのだろう?
あとがきによると、書く前にラストがイメージされていたという。これを児童文学として出すこと自体が、冒険だったのではないか。