GUST NOTCH? DIARY

HPウェイ[増補版] / 依田卓巳 / David Packard,(序文)Jim Collins (asin:4903212270)

HPウェイ[増補版]
会社の本。
1995年に出たものが2005年に増補版になったもの。

  • 彼らの最高の製品は「ヒューレット・パッカード社(HP)」であり、最高のアイデアは「HPウェイ」なのだ。
  • 企業には、株主のために利益をあげることより大きな責任がある。社員一人ひとりに人としての尊厳を認める責任があり、顧客を幸せにする責任があり、広く地域社会に対しても責任がある、と。
  • たいていの起業家が追い求める問題は、「どうすれば成功できるか」だ。けれども、ヒューレットとパッカードのふたりは、最初からそれとは違う問題を追っていた--「どんな貢献ができるか」だ。
  • 世の中を見れば、いまだに金儲けにしか興味のない人もいますが、人を心の底から動かすのは、たいてい金儲け以外の欲求です。
  • 社員が貢献のため全力を尽くして働くのは、真の目的があり、なんのために努力するのかわかっていて、自分の能力を最大限に発揮できる場合です。
  • われわれの第一の義務は、これまでの話からおのずと分かるように、部下に自分たちは価値ある仕事をしているのだとわからせることです。
  • われわれが価値ある仕事をして、顧客によりよいものを提供する限り、顧客は毎年毎年、十分な代金を支払ってくれ、なにがしかの利益が出るでしょう。
  • HPにはいまも利益配分制度があり、チームワークを奨励し、従業員の努力と企業の成功をしっかりと結び付けている。
  • 一九七二年、私たちは卓上計算機市場を一変させる製品を発表した。そのモデル35はコンパクトな電卓で、世界初の「電子計算尺」だった。
  • 興味を持った分野に参入するかどうかの決め手は「貢献」である。
  • 本格的な開発に取り組むためには、そのアイデアに、実用性(機器がきちんと動くこと)と有用性がそなわっていなければならない。実用性のあるアイデアは、えてして有用性に乏しい。有用な発明は、たんにニーズを満たすだけでなく、経済的かつ効率的にニーズを満たさなければならないのだ。
  • つまるところ、われわれが売っているのはハードウェアではなく、顧客が抱える問題の解決なのだ。
  • YHPにたびたび足を運んでわかったことがある。彼らはかなりの時間をかけて、すべての調整ができるだけ精確であることを確かめていた。同じ調整でパロアルトのHPがめざしていたのは、できるだけ短い時間で指定の範囲内に収めることだった。
  • 組織のあり方は、社員のやる気や仕事ぶりに影響を与える。
  • 目標がいちばんうまく達成されるのは、社員一人ひとりがそれを理解し、支持しているとき、そして、共通のゴールをめざしながらも、自分がたずさわる業務や組織にとって最適な方法を選ぶ自由が認められているときだ。
  • 社員には利益と貢献という目標を共有してもらい、その代わりに、できるだけチャンスを与え、雇用を保障する責任を果たした。
  • 部品箱や倉庫に施錠しないことには、重要な意義がふたつあった。ひとつめは実際的なもので、工具や部品がすぐにつかえるようになっていれば、週末、設計者やその他のスタッフが、会社や家で新しいアイデアを試したくなったときに助かる。ふたつめは気持ちの問題として大切で、部品箱や倉庫を開けておくことは信頼の証になる。信頼はHPのビジネスの核なのだ。
  • 私はフレックスタイムを、社員に対する敬意と信頼の象徴と考えている。
  • 私は経験上、大半の経営者が分権化という概念を支持するのを知っている。しかし、いざ自社のこととなると、経営者の多くは分権化をためらう。おそらく、自分の権力の一部を他者に譲ることに、大きな不安がつきまとうからだろう。
  • 一九九〇年、いよいよ危機的状況に陥った。HPの意思決定プロセスは各委員会が支配し、決定に莫大な時間を要するようになっていた。
  • 「目標による管理」では、全体の目標が明確に示され、合意されたあと、作業者はみな各自の責任の範囲内でベストと思われる方法で目標に向かい、柔軟に仕事をこなす。それがマネジメントにおける分権化の哲学であり、自由な経営の真髄だ。
  • 集団的な指令や厳しい支配によって管理される組織より、個々の能力を発揮するチャンスがある組織のほうがうまく機能するのは、歴史のうえでも、現在のビジネスでも証明されている。
  • 「過去一〇〇年に存在した伝統的な組織の骨格または内部構造は、地位と権力が結びついたものだった。一方、新興組織の骨格は、相互理解と責任でなければならない」
  • HPウェイの基本的信条であるそれは、「オープンドア・ポリシー」と呼ばれる。MBWA同様、「オープンドア・ポリシー」も相互の信頼と理解を深め、従業員がアイデア、意見、問題、懸念などを自由に言える環境を作るためのものだ。
  • ビルと私が現場で働いていた会社設立から一八年間、HPは異例の会社だと思われていた。人事部がなかったからだ。
  • ヒューレット・パッカードでこれまで幹部になったか、いま幹部になっているマネージャーは、ほぼ全員が技術者である。