109シネマズ川崎にて、IMAXデジタル上映の「トランスフォーマー/リベンジ」を見てきました。当初は私も「あのIMAX」がDLPになって帰ってくると思っていたのですが、調べてみたらどうやら普通のIMAXをイメージしていてはいけないらしいということが分かったので、そういうつもりで確認してきました。
その結果がタイトルの通りです。やっぱりこれをもってIMAXというのは、従来のIMAXを知る人にとっては詐欺みたいなものです。とはいえ、普通のDLP上映と比べると映像は綺麗ですし、音響も従来のDolbyやSDDSとは違うわけです。ですので、従来のIMAXとは違うということを明確にするために、IMAXデジタルは、きちんとIMAXデジタルと呼んだ方がいいと思います。
その点、東急のプレスリリースなどでは、きちんと「IMAXデジタルシアター」という呼び方をしています。ただし、説明に用いている絵は、従来のIMAXを想像させるものですし、「IMAX体験」などという表現は、従来からのIMAXと混同してしまい、誤解を生む原因となると思います。
そもそも、IMAX社の表現自体が曖昧なのにも問題があると思います。先の「IMAX体験」という言葉もIMAX社がIMAX全般を対象に使っている言葉なのです。現在商業ベースで鑑賞できるIMAXと呼ばれるものには、以下のものがあることになっています。
従来からのIMAXは、70mmフィルムを横送りにすることで、35mmフィルムの4倍の面積に情報を記録し高解像度を得るとともに、それを8階建に相当する高さを持つスクリーンに投影するシステムです。IMAX Dome は、同じく70mmフィルムを使用して、魚眼レンズで撮影し、全天周スクリーンに投影するシステムです。IMAX 3DはIMAX社の開発した3D方式を指していて、2つのレンズを使用して撮影し、液晶シャッター方式で3D映像を得るシステムのことです。*1これはIMAX/IMAXデジタルの両方に適用できます。で、今回日本初で109シネマズ3館に導入されたのが、IMAXデジタルであり、二台のDLPを用いてフィルムを使わない上映を行えるものです。しかし、装置の制約から、スクリーンの高さは最大でも12m程度にしかなりません。これ以上大きくしてしまうと、画像のアラが見えてしまうためです。したがって、従来からのIMAXと比較すると、どうしてもスクリーンの小ささが気になります。Wikipediaの英語版が詳しいです。
ちなみに、私の過去のIMAX経験は、新宿高島屋のIMAX、品川のIMAX、San Jose のTech Museum のDomeシアターの3箇所です。
さて、109川崎のIMAXデジタルは、元々通常のシネコンとして作られた一館をIMAXデジタル用に改造したものです。改造とは言っても、内装的には、スクリーンとスピーカーが変わっただけで、そのためにいくつかの椅子が撤去されたに過ぎません。構造は従来のシネコンのままなので、座席によってはスクリーン下方が見にくい席があるようです。私が今日見たのは壁付きの最後列の中央、丁度プロジェクタの下くらいでした。ここからだと、スクリーンが遠すぎて、「包まれる」という感覚はもうありません。大きめのスクリーンの劇場で見ているような感じでした。ちなみに、上映終了後に座席に座ったまま撮影したところはこんな感じでした。一応、スクリーンは全部見えてます。
エグゼクティブシートの後ろの列にも座ってみましたが、没入感という点ではここから数列後ろまでが限度でしょう。さらに、最前列の中央にも行ってみましたが、もうここは壁です。従来のIMAXシアターならば、最前列でもまだスクリーンを見下ろせる部分があるのが普通ですが、ここは見上げるだけしかありません。ちなみに、通常のIMAXならば、最後列でもやっとスクリーンの上下中央くらいですが、109川崎の場合はやや見下ろす感じになります。
画質の印象は思った以上に良かったです。最後列からだったので、あまりアラが見えなかったのかも知れませんが、高輝度、高コントラストという点では従来のDLPよりもよい印象を持ちました。字幕もくっきりということもありますが、単純に普段見ている上映館のフォーカスが甘いだけかもしれません。
音響システムの方は、左右後方隅に櫓ができていて、IMAX用のホーンタイプのスピーカが乗っていました。スクリーンが近づいたことによるだけでなく、ここの部分にあった座席もいくつか撤去された模様です。録音の状態にもよると思うのでなんともいえませんが、上映前に109シネマズの案内が流れているときの音響は、低音がビリビリしていてあまりいい感じではありませんでした。本編中はあまり気になりませんでした。
今回の作品ではIMAX撮影したシーンがいくつかあったのですが、画質的な違いはほとんど感じられませんでした。まとまってここからここまで、というわけではなく、ちょこちょこと何箇所かにちりばめられていました。DMR作品なので、通常はシネスコサイズで上下に余裕がある状態になっているのですが、IMAX撮影の部分はスクリーンいっぱいに広がります。特に交戦シーンで使われていて、フィルムのIMAXならば、森林やピラミッドを撮影した背景が効果的だったのではないかと想像してます。が、デジタルの場合はほとんど違いが分からなかったので、気づかなかった人もいるのではないかと思われます。
これが特別興行ということで2000円だったわけですが、普段1000円で見ている私としては、倍も出すほどの価値は感じられませんでした。新宿や品川のIMAXでも1000円だったのもありますが、上映時間が長いことを考慮しても、せいぜい1500円がいいところです。3D作品が値段が上がる分については、眼鏡のメンテ代として納得できなくもないのですが、ただのデジタル作品は通常作品と同じ値段でいいと思います。これまでだってDLPを導入したからといって値上げはしてないわけですし。設備投資分は全体でなんとかしてください。
今後もIMAXデジタルに行くかどうかは、作品と値段次第というところです。